映画「シェイプ・オブ・ウォーター」の ギレルモ・デル・トロ監督のコレクション展

ギレルモ・デル・トロの世界観に学ぶアーティストの在り方。


昨年秋、カナダのオンタリオ美術館で開催されたギレルモ・デル・トロ監督のコレクション展に行ってきました。

こちらの監督は、今年の春に話題になった映画「シェイプ・オブ・ウォーター」や「パンズラビリンス」などを世に送り出した方です。この「パンズラビリンス」を観たのは10年程前。TSUTAYAの最新DVDコーナーの棚に見つけました。可愛い女の子が煌びやかな部屋にぽつんと一人立つファンタジックなパッケージに惹かれて手に取ったのです。映画が始まるとしばらくは思い描いていたファンタジーな世界が広がります。ところが物語が進むにつれ、なんとも不気味な世界が待ち受けていて衝撃を受けたのを覚えています。彼の魅力がホラー要素を盛り込んだ作風にあると知ったのはまだ暫く先でした。

 

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Art Gallery of Ontario カナダ トロントのダウンタウンにある美術館。展示品にはカナディアンアートが数多く、トラディショナルなものから充実していた印象。ショップもアーティストのアクセサリーやキッチン雑貨まで幅広く、充分楽しめました。

下の階に行くと子ども向けのアートスクールがあり、自由に作品を作る姿が印象的でした。(このシーンをヒントに帰国した私はcinemanma for kids!と題したキッズ料理教室を開催しました。)

鬼才ギレルモ・デル・トロのプライベート・コレクションを展示する特別展「GUILLERMO DEL TORO:AT HOME WITH MONSTERS」はこちらの美術館で開催されました。

今回の特別展は、彼が作品づくりにインスピレーションを受けた映画や本、ドレスや小道具などが不気味に展示され、まるで映画のセットにでも迷いこんだかのようでした。順路も複雑で、その意図は「彼の頭の中のようなラビリンスで迷子になる」楽しみを観客に味わってもらうことにあるそう。

規模感もかなりのもので、展示数は約500点。まさにラビリンスでした。

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赤く塗られた部屋は、あゆみ進めてはいけないような恐怖とも憎悪とも言えるゾワゾワとした感情をつくります。

すると…居ました。10年前の私を恐怖に引き込んだ怪物、ペイルマン。展示物といえど本物さながらでやっぱり怖い。

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更に進むと壁一面にコミックブック。映画のパッケージ。天井まで飾られたコレクションには圧巻でした。

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日本の美術展ではなかなか目にしませんが、展示品が混沌とならぶ中で、グランドピアノを演奏し続ける男性がいたり。ちなみに彼は、写真を撮られようが話しかけられようが一切笑いません。

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順番待ちが出来る程ゲストも沢山。世界中に、彼のグロテスクなクリエイティビティに浸りたい人々がいるのだと物語っていました。

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I don’t really care much for the idea of ‘normal’ — that’s very abstract to me. I think that perfection is practically unattainable, but imperfection is right at hand. So that’s why I love monsters: because they represent a side of us that we should actually embrace and celebrate.

彼の作風を美しいと言う人もいます。反して、悍ましい、醜いと批判する人もいるでしょう。ですが、何をするにも自分の大好きな世界に愛を持って世に送り出す一貫性は尊敬に値します。

物書きや音楽家、作品を生み出し続けるアーティストは、時に壁にぶつかります。そんな時には、そもそも原動力はなんだっただろうか?思い出す時間を作るのもありです。そしたらきっと、思い出すはず。

「あ、好きで好きで、時間を忘れるほどに夢中になって溢れ出たんだ。」と。

普通のアイディア?奇抜な世界観?そんなのは気にしなくていい。大事なのはあなたが作るものはあなたにしか作れないということです。何かを発信するとそれを受け取る誰かには必ず何かが伝わります。何を想うかは受け取る人の自由でいい。

ギレルモ・デル・トロ監督のコレクション展から、私はこんなことを学びました。皆さんは、何を想いますか?

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2018.05.19

Live,Love,Laugh…and“Be HAPPY.

thank you.

from  mineco

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