雨の日に観たい映画、劇団ひとり原作の「陰日向に咲く」から連想する料理「陰・日向のペペロンチーノ」

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・雨が嫌いなら、傘を壊せばいい。
・『ひとりじゃない。』
・陰・日向のペペロンチーノ


雨が嫌いなら、傘を壊せばいい。


 

昨日は一日中ひどく荒れた空模様でした。昼時から今朝までたくさんの雨粒が地に降り注ぎました。そんな陽気は一般的には嫌われてしまいます。

 

「今日は雨だ。」という日、皆さんが想像するのはどんなシーンでしょうか?外に出れば水たまりで靴はびしょ濡れ、車からの水しぶきに服が汚れたり、偏頭痛に悩み、時には傘が壊れてしまう。それとも楽しくて浮かれる、そんなイメージですか?

 

懐かしい思い出に、荒れた天気を楽しむ極意がありました。

 

幼少期、台風のような天気の日のことです。兄妹達とみんなで家にある全ての傘を持ち、長靴を履いて外へ出た私たち。屋根のある駐車場はビル風のように超級の風が吹き荒れていました。その向かい風に傘をピシャッと勢いよく開いては、傘を破壊する…!という謎の遊び。そんな馬鹿な遊びにケラケラ笑いみんなで盛り上がりました。今では世間的に怒られるエピソードです。(きっと当時も)

 

雨だから家にいたい、それは年を重ねるごとに作ってしまった雨のネガティブなイメージからなのかもしれません。

 

私は結構雨が好きです。確かに雨の中外出するのは面倒なことだらけですが、晴れているとどうもあちらこちらに出向きたくなるし、用もないのに外へ出なくてはいけないような気持ちになるので雨の日の方が家で体をゆっくり休められる。雨音を聞きながら一気に本を読みきってしまったり、やっと集中して映画を観れたり。何より、窓辺から見える雫がとても好きです。

 

何となく「雨」について調べてみると「イギリスやフランスなど西洋の温暖な地域では雨は悲しいイメージで捉えられる傾向が強いけれど、雨が少ないアフリカや中央アジアの乾燥地帯などでは、雨が楽しく喜ばしいイメージであることが多く、雨が歓迎される。」というもの。

 

雨が好きではないという人はひょっとしたら、雨に飽きてしまったのかもしれませんね。

 

人は自分で思うよりもずっとわがままなものです。思ったようにならないと、例え自分の力では到底かなわない天気にさえも悲しみや苛立ちを感じてしまいます。変えられないものに心を脅かされるなら、その瞬間とにかく幸せであれと、別の方法を試してみたらいい。

 

あの時、雨はあんなに楽しかった。それはきっと自ら雨に濡れ、自ら傘を壊したから。大人になった今、雨の日の外出はもしかしたら服が汚れるかもしれないし傘が壊れるかもしれないと予想はできるのに、そうはならないだろうと思い込んでしまう。そのはずが車や風、自分以外の何者かによって勝手に壊されてしまうから心を乱されてしまうのではないでしょうか。

 

あなたの中で雨があまりいいイメージでなければ、いっそ自ら傘を壊して雨を遊び尽くしてみればいい。濡れてもいい服を着て土砂降りの中ランニングをしたり、敢えて水たまりばかりを歩いても、誰も怒る人はいません。室内であれば、窓を開けてお風呂に入れば雨音がBGMになって露天風呂気分になれるかもしれない。天気を変えることはできないけれど、自分の感情や行動を変えることはできます。すると価値観が変わるのです。

 

雨を好きになったら6月の梅雨はきっと毎日が幸せに違いありません。

 

大人になった今、幼きあの頃とはまた違う楽しさも知っている。それってとても幸せなことです。


『ひとりじゃない。』


【 陰日向に咲く 】

 

 

東京で暮らす一見全く関係ないような人々の群像劇。

 

ギャンブルで作った借金の返済が滞り「オレオレ詐欺」に手を出す若者。社会で居場所を見つけられなくなりホームレスとして暮らすエリートサラリーマン。一向に芽の出ないアイドルとその熱狂的なファンである青年。母の初恋の人を探して上京してきた娘。大ボラ吹きと呼ばれているホームレス。そして、かつてストリップ劇場の舞台に立っていたが、一人病に伏せる老婦人・・・。

 

落ちこぼれと言われる陽の当たらない人々の、ある夏のお話。別々の日常を生きて来た彼らの人生が、物語が進むにつれ絡み合っていく様は気持ちがよく「確かに人生ってこういう風に繋がっている」そう思います。

 

見終わるとなぜか少し表情が柔らかくなるような映画です。長い雨が降った後、やっと晴れ間が見えた時のような気持ち。

 

どんなドラマチックなことが起きても人生が劇的に良くなるわけではない。けれど、気分が晴れれば自ら劇的な変化を起こせる。


cinemanma!


 

この作品の登場人物たちは、確かに賞賛を浴びるような生き方ではありません。陽の目を見て堂々と歩くには後ろめたいであろう人生。

 

中でも岡田准一さん演じるシンヤは本当にダメな奴です。ギャンブルで多額の借金を作り、職場の仲間が勘破してくれたお金も全てギャンブルに使いこむ。支払いに首が回らなくなったら「オレオレ詐欺」でお金を調達しようとする・・・。映像で見ると、岡田さんほどのイケメンが演じているから、なんだかいい話のように思えてしまいますが。笑

 

そうなってしまった背景にはその人なりの理由があります。ただ、恐らく一つの理由ではない。悪いことに限らず、物事の根源はいくつもあります。

 

例えば、親と些細な喧嘩をして急に家出をした子供がいたとします。喧嘩はきっかけではあるけれど、それまでに気に入らないことがあり、ずっと解消されなかったのでしょう。我慢を重ね、ダムが崩壊するのをせき止めていたのに「些細な喧嘩」という小雨程度の出来事によってついに崩壊してしまう。

 

頑張り屋さんや優等生、我慢強い人ほどその反動が大きいのは、そういう理由。だとしたら正直にワガママにいていいし、言いたいことははっきり言ってしまいさえすればいい。その時々で小さな喧嘩になるかもしれないけれど、その程度ならすぐに解決・改善もできるはず。

 

信頼を得ることは難しいものです。ひとたび得た信頼を保つことはもっと難しい。更に、ひとたび失った信頼を取り戻すのは至難の技。信頼というのは「正直」な言葉で築くものです。言葉を陰に潜めず、日に向かって発する勇気を持つのはとても大切なことです。

 

ダムが崩壊してから、後悔しても被害が大きすぎるのです。「あの時ああしていたら、こうしていれば・・・」一度きりの人生にタラレバは通用しません。

 

誰かを殺めたり、苦しめたり人としての原則違反はしてはいけない。ですが、そうでなければ言い訳をしない生き方をしていきたいですね。


陰・日向のペペロンチーノ


 

 

季節の食材を使ってパスタを作りました。

 

使った食材は筍、こごみ、金柑。それぞれの食材の生き方が「陰日向に咲く」の登場人物とよく似てるのです。

 

こごみは日向を好むのに、何が後ろめたいのか小さく丸って隠れようとする。「雨後のタケノコ」という言葉のごとく、無関係に見えた人たちの人生が次々と交錯して物語は進む。作中差し色になっている黄色には希望の意味合いがあるので「太陽に向かって堂々としていれば、金柑のように苦味が好まれる人生もある」そんなメッセージを込めました。

 

登場人物の涙にはしょっぱさと、これまで生きてきた苦みが複雑に交じったような味がしたので味付けは、金柑の苦味と塩だけです。

 

ペペロンチーノなのに金柑のおかげで食べた後は、この作品を観た後のようにスッキリする一皿です。

 

雨の日は、映画「陰日向に咲く」と「陰・日向のペペロンチーノ」で雨を楽しんでください。

 

 

2018.05.14

Live, Love, Laugh…and Be “HAPPY”

Thank you
Mineko Koyama

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